「WBGT測定器を導入したいが、種類が多くてどれを選べば良いかわからない」と感じていませんか。
測定器の形状や機能はさまざまで、何を基準に選べば良いか迷うのは自然なことです。
この記事では、WBGT測定器の仕組みから種類・選び方までをわかりやすく解説します。
設置場所の目安や法改正への対応方法など網羅しているので、現場の熱中症対策を整えたい方はぜひ参考にしてください。
WBGT(暑さ指数)とは
WBGT(暑さ指数)とは、気温・湿度・輻射熱(日差し・地面からの照り返し)をもとに算出する熱中症リスクの指標です。
ここでは、WBGTの計算式や基準値について解説します。
WBGTをより深く理解したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【内部リンク】WBGT(6月執筆分)
WBGT値の計算式(屋外/屋内)
WBGTの算出には、以下の3つの温度を使います。
| 温度の種類 | 概要 | 測れるもの |
|---|---|---|
| 乾球温度 | 一般的な温度計で測る気温湿度や日射の影響を受けない | 空気そのものの温度 |
| 湿球温度 | 温度計の球部を湿らせたガーゼで覆い、水分の蒸発による冷却効果を利用して測る温度 | 湿度(蒸れやすさ・汗の乾きにくさ) |
| 黒球温度 | 熱を吸収しやすい黒色の球の内部温度を測る日射や周囲の物体からの輻射熱を反映する | 輻射熱(太陽光・地面や壁からの照り返し) |
上記3つの値を組み合わせて、以下のように算出します。
- 日光が当たる屋外:WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
- 日光が当たらない屋内:WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
湿度の影響が最も大きく、気温だけでは把握できない体感的な熱ストレスを数値化できる点が特徴です。
暑さ指数の基準値表(注意〜危険)
WBGTの基準値は、日常生活と職場での作業環境でそれぞれ異なる指針が定められています。
<日常生活の指針>
| WBGT値 | 危険度 | 目安と対応 |
|---|---|---|
| 31℃以上 | 危険 | 屋外への外出を控える。高齢者は安静状態でも発症リスクがある |
| 28〜31℃ | 厳重警戒 | 炎天下での外出を避ける。室内でも室温の上昇に注意 |
| 25〜28℃ | 警戒 | 定期的に休憩を取り、こまめに水分・塩分を補給する |
| 25℃未満 | 注意 | 通常は危険性が低いが、激しい運動・作業時は注意 |
参考:日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針 Ver.4」
<職場での身体作業強度別WBGT基準値>
| 身体作業強度 | 作業例 | WBGT基準値(順化あり) | WBGT基準値(順化なし) |
|---|---|---|---|
| 安静 | 座位の軽作業 (精密機器の組立等) | 33℃ | 32℃ |
| 低 | 立位・軽い手作業 (検査・仕分け等) | 30℃ | 29℃ |
| 中 | 継続的な歩行 軽い荷物の運搬等 | 28℃ | 26℃ |
| 高 | 重い荷物の運搬 コンクリートブロック積み等 | 気流を感じない:25℃ 気流を感じる:26℃ | 気流を感じない:22℃ 気流を感じる:23℃ |
| 非常に高 | 最大速度に近い速さでの作業 | 気流を感じない:23℃ 気流を感じる:25℃ | 気流を感じない:18℃ 気流を感じる:20℃ |
職場での基準値は「暑さに体が慣れているか(暑熱順化)」によっても変わります。
また、日常生活の区分は職場の基準とは別のものであるため、現場では身体作業強度別の基準値を参照すべきです。
なぜWBGT測定器が必要なのか
2025年6月施行の改正労働安全衛生規則により、熱中症発生時の報告体制整備や対応手順の周知が義務化されました。
測定器の購入自体は義務ではありませんが、対象作業への該当判断は現場での実測が前提となるため、実務上は実質的に必須といえます。
屋外長時間作業・熱源のある工場などの現場では、早期発見と対応の仕組みの一部としてWBGT測定器を活用してください。
労働安全衛生規則の改正については、以下のページもご参照ください。
【内部リンク】労働安全衛生法とは?事業者の義務をわかりやすく解説
WBGT測定器の種類
WBGT測定器には、設置場所や用途に応じていくつかの種類があります。
それぞれの特徴を把握した上で、現場の環境に合ったタイプを選ぶことがおすすめです。
据置・壁掛型
工場・学校・体育館など、特定の場所で継続的にWBGT値を監視したい現場に適したタイプです。
壁や柱に固定して常時表示できるため、作業員や生徒が離れた場所からでも数値を確認しやすい点が特徴です。
アラーム機能付きのモデルでは、基準値を超えた際に音や光で警告を発するものもあります。
クラウドと連携して、複数拠点のデータを一元管理できる対応モデルも登場しています。
携帯型(ハンディ・ウェアラブル含む)
持ち運びができるタイプで、測定場所が変わる現場や屋外での巡回チェックに適しています。
ストラップで吊り下げて使うハンディタイプから、腕時計のように装着して個人がリアルタイムで数値を確認できるウェアラブルタイプまで幅広い製品を利用可能です。
BluetoothやWi-Fiを通じてスマートフォンのアプリと連携し、データを記録・通知できるモデルも増えています。
熱中症対策に活用できるアラームアプリについては、以下のページもご確認ください。
【内部リンク】熱中症アラートアプリ徹底比較(6月執筆分)
データロガー型
データロガー型は、測定値の継続的な記録・蓄積に特化したタイプです。
一定間隔で自動計測し、SDカードや内蔵メモリにデータを保存できるため、後から温熱環境の推移を分析したい場合に役立ちます。
記録したデータは、労務管理や安全衛生報告の根拠資料としても活用できます。
クラウドにデータを自動送信できるモデルでは、管理者がオフィスや別拠点からリアルタイムで現場の状況把握が可能です。
WBGT測定器の選び方
WBGT測定器を選ぶ際は、測定精度だけでなく、データの管理方法や使用環境への適合性も重要な判断軸です。
以下の4つのポイントを参考に選定してください。
黒球付きかどうか
WBGT測定器を選ぶ上で最も基本となるポイントが、黒球の有無です。
黒球は太陽光や周囲の壁・地面からの照り返しといった輻射熱を測定するためのもので、ついていないモデルでは輻射熱の影響を正確に反映できません。
屋外や日射の強い環境で使用する場合はとくに、熱中症リスクをより正確に判断するために不可欠です。
JIS規格(JIS B 7922)対応か
2017年3月に電子式WBGT測定器のJIS規格(JIS B 7922)が制定され、測定精度の基準が明確化されました。
JIS規格に適合した製品は、一定水準以上の品質と信頼性が担保されているといえます。
職場の安全衛生管理や行政への報告に活用する場合は、JIS規格対応モデルがおすすめです。
厚生労働省もJIS Z 8504またはJIS B 7922に適合した測定器の使用を求めています。
参考:厚生労働省職場のあんぜんサイト「暑さ指数(WBGT値)」
データの管理方法は何か
測定値をどのように活用するかによって、適切な管理方法は異なります。
その場で数値を確認するだけであれば表示機能のみのシンプルなモデルで十分です。
しかし、データを蓄積して安全衛生報告に使いたいならログ出力機能、複数拠点を一元管理したいならクラウド連携機能などが推奨されます。
導入前に運用フローを整理した上で、必要な機能を絞り込むと選定がスムーズです。
使用環境に合っているか
使用環境との相性も、確認しておきたいポイントです。
粉じんの多い工場や雨が当たる屋外環境では、防塵・防水性能を備えた測定器を選ぶ必要があります。
製品のスペック表ではIP規格(防塵・防水の国際規格)の等級を確認するのが確実です。
また、直射日光下に長時間設置する場合は、耐熱性を備えたモデルを選ぶと安心です。
夜間や暗い現場での使用が想定される場合は、視認性の高いディスプレイを備えたモデルであればスムーズに運用ができます。
WBGT測定器だけでは防げないリスクもある
WBGT測定器は職場の安全管理に欠かせませんが、それだけでは防げないリスクもあります。
WBGT値は、あくまでも「その場の環境」を示す数値です。
JIS Z8504においても、作業の激しさや衣類の種類によって同じWBGT値でも体が受ける熱の負担は異なるとされています。
つまり、環境条件が同じでも、重労働をしている人・防護服を着用している人・体調が優れない人では、熱中症リスクは異なります。
WBGT測定器だけでは、こうした個人ごとのリスクの差を把握できません。
個人の熱中症リスクを可視化する「hamon band」
WBGT測定器が「その場の環境」を測るのに対し、hamon bandは「個人の体」を測るウェアラブルデバイスです。
産業医科大学との共同研究で開発された特許アルゴリズムにより、脈波から深部体温の上昇・下降の変化をリアルタイムで推定します。
「異常が起きてから対処する」のではなく、「検知して先手を打つ」安全管理を実現できる点が特徴です。
通信会社であるJTE様の現場でも、振動アラートで体調変化に気づきやすくなったとの声が届いています。

| モデル | こんな現場におすすめ |
|---|---|
| hamon band S | シンプルに熱中症リスク対策を導入したい |
| hamon band V | リスク対策に加えて時計機能も求める |
| hamon band N | リスクをクラウドで一元管理・SOS発信まで対応したい |
| MITSUFUJI 03 | クラウド管理に加え、転倒検知やデータ分析レポートも必要な現場 |
各モデルの詳細については、以下のページからご確認ください。
WBGT測定器に関するよくある質問
ここでは、WBGT測定器に関してよくいただく質問に対する回答を紹介します。
WBGT測定器はどこに置くべき?
作業者が実際に作業している場所・高さに設置するのが基本です。
高さの目安は地上1.2〜1.5m程度で、人の胸から頭にかけての高さに相当します。
屋外では直射日光や地面の照り返しの影響を受けやすい場所を選びます。
屋内では空調の吹き出し口や窓際など、温熱環境が偏りやすい場所を避けなくてはいけません。
複数の作業エリアがある場合は、最も暑熱リスクが高いと想定される場所に優先して設置しましょう。
WBGT測定器は必須ですか?
2025年6月施行の改正労働安全衛生規則により、熱中症発生時の報告体制の整備や対応手順の周知が義務化されました。
WBGT測定器の購入自体は、直接の義務ではありません。
しかし、対象作業に該当するかどうかの判断は現場での実測が前提となるため、実務上はほぼ必須といえます。
法令対応の実効性を高めるためにも、測定器の導入と適切な運用が強く推奨されます。
WBGT値の測り方は?
WBGTは、以下の式で算出します。
- 屋外:0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
- 屋内:0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
ただし、これらの値を個別に計測して手計算するのは現場では現実的ではありません。
実務では3つの温度センサーを内蔵し、WBGT値を自動で算出・表示してくれる測定器を使用するのが一般的です。
WBGT測定器とhamon bandで現場の熱中症対策を徹底
熱中症対策の基本は、まず現場の暑熱環境を正確に把握する姿勢です。
そしてWBGT測定器は、気温だけでは見えない「蒸し暑さ」を数値化し、作業の可否や休憩タイミングの判断基準を与えてくれます。
一方で、同じ環境にいても個人によってリスクは異なります。
体調・作業強度・着衣の違いによって、実際に体が受ける熱の負担は人それぞれです。
この個人差を補うのが、hamon bandによるリアルタイムの個人モニタリングです。
環境を測るWBGT測定器と、個人を測るhamon bandを組み合わせることで、現場の熱中症対策をより確実なものにできます。
各モデルの詳細は、以下のページからご確認ください。





