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ミツフジコラム

過重労働とは?基準・長時間労働との違い・企業の対策を解説

2026/10/06

過重労働とは?基準・長時間労働との違い・企業の対策を解説
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「過重労働と長時間労働の違いを正しく整理したい」

「自社の残業時間が過労死ラインに該当するか判断したい」

このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。

過重労働とは、長時間労働に加えて不規則な勤務や心理的負荷が複合的に重なり、心身に有害な負担を与える働き方を指します。厚生労働省の資料でも、脳・心臓疾患や精神障害の発症リスクを高める働き方として位置づけられています。

本記事では、過重労働と長時間労働の違い、過労死ラインの時間基準、労働安全衛生法上の企業義務、実務で講じる防止対策までを、厚生労働省の一次資料に沿って解説します。労務・安全衛生管理の見直しを検討する方は、参考にしてみてください。

目次

過重労働の定義と長時間労働との決定的な違い

過重労働の定義と長時間労働との決定的な違い

過重労働とは、労働時間の長さだけでなく心身への負荷を含んだ働き方を指す上位概念です。長時間労働・不規則な勤務・心理的負荷などが複合的に作用する状態として、厚生労働省の資料で説明されています。

長時間労働は「時間の長さ」、過重労働は「負荷を伴う働き方」

長時間労働は、法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えて働く客観的な状態を指し、単独の法的定義はありません。一方の過重労働は、長時間労働に加えて不規則な勤務、勤務間インターバルの不足、精神的緊張などが重なった働き方を意味します。

労働時間の長さだけでなく、心身への負荷まで含めて評価する点が両者の決定的な違いです。

長時間労働と過重労働の比較

比較項目長時間労働過重労働
定義法定労働時間を超える時間的な状態心身に有害な負担を伴う働き方
評価の軸労働時間(時間外労働の時間数)労働時間+不規則性・心理的負荷
代表的な基準月45時間超が目安月100時間超・複数月平均80時間超
生体への影響疲労の蓄積脳・心臓疾患、精神障害のリスク上昇
対策の主眼残業削減・シフト調整労働時間短縮+心身の状態把握・医師面談

出典:過重労働による健康障害を防ぐために|厚生労働省

過重労働の基準|過労死ラインと36協定の時間数

過重労働の基準|過労死ラインと36協定の時間数

過重労働の代表的な時間基準は、脳・心臓疾患の労災認定基準にある「月100時間超」または「複数月平均80時間超」の残業時間です。あわせて、労働基準法第36条の時間外労働の上限規制と、精神障害の労災認定基準も実務上の判断材料になります。

36協定における時間外労働の上限規制

2019年4月施行の改正労働基準法により、時間外労働に罰則付きの上限が設けられました。原則は月45時間・年360時間です。

特別条項では、年720時間以内、時間外+休日労働で単月100時間未満、2〜6か月平均で月80時間以内が絶対的な上限とされています。月45時間を超えられるのは年6回までです。

脳・心臓疾患の労災認定基準(過労死ライン・令和3年改定)

厚生労働省は「脳・心臓疾患の労災認定基準」において、業務との関連性が強いと判断される時間基準を定めています。発症前1か月におおむね100時間超、または発症前2〜6か月のいずれかの平均で月80時間超の時間外労働が、いわゆる過労死ラインです。

令和3年9月の改定では、時間のみで一律判断せず、労働時間以外の負荷要因も総合評価する旨が明確化されました。

具体的には、勤務間インターバルの短さ、不規則勤務、身体的負荷や精神的緊張を伴う業務などが評価対象に位置づけられています。

精神障害の労災認定基準(令和5年改定)

うつ病や適応障害などの精神障害の労災認定基準でも、労働時間が心理的負荷の強度を判定する重要な指標です。発病前1か月におおむね160時間超、または3か月間で1か月あたり100時間超の時間外労働がある場合、心理的負荷が「強」と評価されます。

令和5年9月の改定では、顧客等から著しい迷惑行為を受けた事案(カスタマーハラスメント)が具体的出来事として追加されました。パワーハラスメントの6類型すべての具体例が明記され、心理的負荷と長時間労働の複合評価も見直されています。

時間外労働の上限と労災認定基準サマリー

区分時間基準参照根拠
36協定の原則上限月45時間・年360時間労働基準法第36条
36協定の特別条項上限年720時間/単月100時間未満/複数月平均80時間労働基準法第36条・第119条
脳・心臓疾患の労災認定単月100時間超/複数月平均80時間超+負荷要因令和3年9月改定
精神障害の労災認定直前1か月160時間超/3か月平均100時間超など令和5年9月改定

出典:脳・心臓疾患の労災補償について|厚生労働省

出典:心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました|厚生労働省

過重労働の対策と労働安全衛生法上の企業義務

過重労働の対策と労働安全衛生法上の企業義務

労働安全衛生法では、事業者に対して労働時間の客観的な把握と、月80時間を超える長時間労働者への医師面接指導が義務付けられています。あわせて、労働契約法上の安全配慮義務や罰則リスクへの理解も欠かせません。

労働時間の客観的な把握義務

2019年の改正安衛法により、事業者は管理監督者や裁量労働制の適用者を含むすべての労働者について、客観的な方法での労働時間把握が義務化されました。

高度プロフェッショナル制度対象者を除き、労働時間の状況を客観的に把握する体制が求められる形です。

タイムカード、ICカード、パソコンのログ記録などの客観的記録が求められる形です。

月80時間超の長時間労働者への医師面接指導

週40時間を超える時間外・休日労働が月80時間を超え、労働者本人から申出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施する必要があります。申出待ちにするのではなく、疲労蓄積度チェックや勤怠アラートで対象者を確実に補足する仕組みが望まれます。面接結果を踏まえた就業上の措置と、記録の5年間保存も義務です。

安全配慮義務と罰則リスク

労働契約法第5条の安全配慮義務を怠り、労働者が疾病や死亡に至った場合、企業は民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。安衛法上でも、労働時間の状況把握の懈怠、面接指導の不実施などは刑事罰の対象となり得るため、法令遵守は経営リスク管理そのものといえるでしょう。

過重労働のリスクと企業経営への影響

過重労働のリスクと企業経営への影響

過重労働は、労働者本人の健康被害にとどまらず、労災補償・損害賠償・生産性低下という多面的なコストを企業経営にもたらします。

令和5年度 過労死等の労災補償状況

厚生労働省が公表した令和5年度の統計によれば、過労死等に関する労災の総請求件数は4,598件、総支給決定件数は1,099件で、いずれも過去最多水準となりました。脳・心臓疾患の請求は運輸業や卸売業、建設業で多く、精神障害の請求は医療・福祉、製造業、卸売業の順で多い状況です。

出典:令和5年度『過労死等の労災補償状況』を公表します|厚生労働省

プレゼンティーイズムによる不可視の経済損失

出勤していても不調によりパフォーマンスが下がる状態(プレゼンティーイズム)による損失は、欠勤や休職に伴う直接コスト以上に大きいとされます。

厚生労働省・経済産業省のコラボヘルスガイドラインで紹介されている調査では、健康関連総コストの構成比のうちプレゼンティーイズムが約77.9%を占めるとされています。

過重労働が発生する構造的な原因

過重労働は個人の努力不足ではなく、組織構造や業務プロセスに根ざした要因が絡み合って発生します。代表的な要因は次の4つです。

過重労働が発生する主な要因
  • 人員配置の偏り:特定のキーマンや管理職に業務が集中し、他メンバーへの移管が難しい状態
  • 組織文化・風土の課題:長時間労働を評価する風潮が残り、業務量の適正化が進みにくい状態
  • 業務プロセスの非効率とDXの遅れ:アナログな勤怠管理や重複した承認フローが労働時間を見えにくくする
  • 不規則な勤務体制とハラスメント:連続夜勤や短い勤務間インターバル、心理的圧迫が労働負荷を構造化する

過重労働の対策|勤怠管理から生体データ活用まで

過重労働の対策|勤怠管理から生体データ活用まで

過重労働の防止対策は、経営方針の表明、客観的な勤怠管理、制度整備、生体データの活用という4段階で組み立てることで実効性が高まります。厚生労働省の職場のあんぜんサイトでも、経営トップの姿勢表明が最上位の対策として挙げられている取り組みです。

経営トップの方針表明と勤怠管理のDX化

経営トップが「健康障害を発生させない」との方針を表明し、社内外に周知することが対策の起点となります。あわせて、PCログやICカードなどのデータを活用した勤怠管理システムを導入し、月45時間・60時間・80時間の段階に応じた自動アラートを設定することが有効です。

出典:過重労働対策[安全衛生キーワード]|職場のあんぜんサイト・厚生労働省

勤務間インターバルと有給休暇の計画的付与

終業から翌日の始業までに一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度は、労働時間等設定改善法において事業主の努力義務です。有給休暇の計画的付与や、衛生委員会での原因分析・人員配置の再設計と組み合わせることで、労働負荷の平準化が進みます。

時間管理だけでは見えない個人の疲労と生体データの活用

労働時間の管理は基本ですが、個人の疲労耐性には差があり、同じ月60時間の残業でも心身への影響は一律ではありません。加えて、負荷の蓄積した状態では自己判断が働きにくくなる側面もあります。

そこで、心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)や深部体温変化の推移など、生体データを補助情報として活用する方法が有効です。

主観だけでは捉えにくい心身の状態を、客観的に把握しやすくなります。

hamon band シリーズによる疲労・自律神経の可視化

hamon bandシリーズ

弊社ミツフジ株式会社が提供するhamon band シリーズは、銀めっき繊維「AGposs®」で培ったウェアラブル生体センシング技術を応用したIoTデバイスです。

産業現場の安全・健康管理に活用いただける仕様となっています。

巻くだけで、猛暑リスクやストレスなどの体調変化を補助情報として可視化します。

シリーズは通信環境や運用範囲に応じて3グレードから選べます。Sは通信環境のない現場でも本人通知として使えるエントリーモデルです。

Vは時計表示付きのスタンダードモデル、NはLTE通信で管理者側の一元管理が可能なアドバンスドモデルという位置づけです。

中核となる特許アルゴリズムは、産業医科大学と前田建設工業との共同研究により開発され、日本において特許第7175473号として登録されています。

hamon band シリーズは医療機器ではなく、参考データを提供する製品です。休憩や産業医面談のきっかけとしてご活用いただく設計であり、疾病の診断や治療を目的としたものではありません。関連するハイエンドモデルとして、e-SIM搭載スマートウォッチ「MITSUFUJI 03」も提供しています。

生体データを活用した産業医面談の質向上

労働時間データに生体データを加えることで、労働安全衛生法上の面接指導はより客観的で実効性の高いものになります。ストレスチェックとの一体運用による健康管理体制の構築にもつながる取り組みです。

従来の面接指導は、自己記入式の疲労蓄積度チェックリストと時間外労働時間数が主な判断材料でした。個人差や潜在的な負荷を、時間数と主観情報だけで拾い切ることは容易ではありません。

hamon などのウェアラブル端末で日常的に体調変化のデータを蓄積すれば、面談時に客観的な参考データを医師に提示できるようになります。時間外労働の数字と心身の状態を裏付ける情報を組み合わせることで、就業上の措置の意見を医学的な根拠に基づいて聴きやすくなるでしょう。

まとめ|過重労働の防止と持続可能な労働環境へ

まとめ|過重労働の防止と持続可能な労働環境へ

過重労働とは、労働時間の長さだけでなく、不規則な勤務や心理的負荷を含めた心身への有害な負担を伴う働き方です。月100時間超・複数月平均80時間超の過労死ラインと、労働安全衛生法上の企業義務は、実務で押さえておくべき最重要ポイントといえます。

客観的な勤怠管理と制度整備に加え、生体データを活用した心身の状態把握を組み合わせることで、時間管理だけでは捉えにくいリスクを補完しやすくなります。弊社の hamon band シリーズは、労働時間と生体データを組み合わせた過重労働対策を検討する企業を支える選択肢の一つです。

▼参考文献

・過重労働による健康障害を防ぐために|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07041.html

・過重労働の防止|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識・厚生労働省
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_kajuroudou.html

・過重労働対策[安全衛生キーワード]|職場のあんぜんサイト・厚生労働省
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo05_1.html

・脳・心臓疾患の労災補償について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/090316_00006.html

・心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html

・令和5年度『過労死等の労災補償状況』を公表します|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40975.html

・労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf

・過重労働対策について|こころの耳・厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/overwork/

・データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン|厚生労働省保険局
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000317031.pdf

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