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労働災害とは?種類・事例・防止策と企業の法的責任を解説

2026/10/06

労働災害とは?種類・事例・防止策と企業の法的責任を解説
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「労働災害の定義と種類を、法令に沿って正確に整理したい」

「自社の安全衛生対策が法的要件を満たしているか判断する材料が欲しい」

このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。

労働災害とは、労働者が業務中または通勤中に、仕事や作業環境に起因して負傷・疾病・障害・死亡する事象の総称です。労働安全衛生法第2条第1号で定義されており、事業者には防止措置と発生時の報告が法的に義務づけられています。

本記事では、労働災害の定義と種類、厚生労働省の令和6年統計に基づく発生実態、企業に問われる法的責任、そして現場で実践できる防止策までを整理して解説します。現場の安全管理を見直したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

労働災害とは|労働安全衛生法と労災保険法における定義

労働災害とは|労働安全衛生法と労災保険法における定義

労働災害とは、労働者が業務中または通勤中に、仕事や作業環境に起因して負傷・疾病・障害・死亡する事象の総称です。日本の主要な関係法令では、目的に応じて労働安全衛生法と労働者災害補償保険法(労災保険法)の2つで定義が示されています。

ここからは、それぞれの法令における定義と、労災保険と健康保険の適用範囲を順に整理していきましょう。

労働安全衛生法における労働災害の定義

労働安全衛生法第2条第1号は、労働災害を「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること」と定義しています。

この定義は、安全対策(負傷の防止)と衛生対策(疾病の防止)の双方に及びます。事業者に安全配慮や安全衛生教育、健康管理などの措置を求める根拠として、労働安全衛生法体系の中心に位置づけられている条文です。

出典:労働災害|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識・厚生労働省

労災保険法における補償対象と適用範囲

労働者災害補償保険法(労災保険法)では、業務上の事由による「業務災害」に加え、通勤途上の事故による「通勤災害」、第三者の不法行為による「第三者行為災害」を保険給付の対象としています。

労災保険は、一人でも労働者を使用する事業場に強制的に適用される制度です。労働者の加入意思や雇用形態に左右されず、アルバイト・パート・日雇いを含めて雇用された時点で補償対象となります。保険料は事業主が全額負担する点も、健康保険とは異なる特徴です。

労災保険と健康保険の適用区分

労働者が負傷したとき、業務・通勤に起因する傷病は労災保険、業務外の私生活に起因する傷病は健康保険が適用されます。両制度は補償範囲が明確に区別されており、同じ傷病について併用や重複受給は認められていません。

項目労災保険健康保険
適用場面業務・通勤に起因する傷病業務外(私生活)の傷病
保険料負担事業主が全額負担被保険者と事業主が折半
主な給付療養補償・休業補償・障害補償ほか療養給付・傷病手当金ほか
自己負担原則なし(療養補償)原則3割

出典:労働災害が発生したとき・厚生労働省

労働災害の種類|業務災害・通勤災害の認定要件

労働災害の種類|業務災害・通勤災害の認定要件

労働災害は、発生要因により業務災害・通勤災害・第三者行為災害の3種類に大別されます。

こからは、実務で判断機会の多い業務災害と通勤災害を中心に、認定要件と判断基準を確認していきましょう。

業務災害の認定要件|業務遂行性と業務起因性

業務災害として労災認定を受けるためには、負傷や疾病と業務との間に相当因果関係が必要です。厚生労働省の職場のあんぜんサイトでは、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの判断基準が示されています。

業務遂行性とは、労働者が事業主の支配下にある状態で災害が発生したことを指します。狭義の作業時間中だけでなく、始業前・終業後の社内滞在、休憩時間中の事業場内滞在、出張中の全行程においても認められる傾向があります。

業務起因性とは、業務に内在する危険が現実化したと評価できる関係性です。たとえば休憩時間中の私的な行為(同僚とのスポーツ等)による負傷は、業務に内在する危険が現実化したとはいえないため、業務起因性が否定される場合があります。

出典:業務災害(安全衛生キーワード)|職場のあんぜんサイト・厚生労働省

通勤災害の認定条件と「逸脱・中断」の例外

通勤災害とは、労働者が就業に関して行う移動の途上において被った負傷・疾病・障害・死亡を指します。認定にあたっては、移動が就業と密接に関連していることが前提です。

対象となる移動は、住居と就労場所の往復、就労場所から他の就労場所への移動、単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動などです。経路は会社に届け出たルートに限らず、一般に労働者が用いる合理的な経路・方法であれば認められます。

移動途中で就業や通勤と無関係な目的で経路を外れる「逸脱」や、経路上で私的な行為を行う「中断」があった場合、その最中と以後の移動は原則として通勤扱いから外れます。ただし、日用品の購入、選挙権の行使、病院での診察など、日常生活上不可欠な最小限度の行為については例外が設けられており、合理的な経路に戻った後の移動は再び通勤災害の対象となります。

業務災害と通勤災害の判断比較

判断項目業務災害通勤災害
発生場面業務遂行中住居⇔就労場所などの移動中
主な認定要件業務遂行性+業務起因性合理的な経路・方法での移動
支配関係事業主の支配下にある状態事業主の支配下にはない
給付名称業務災害給付通勤災害給付

労働災害の事例と最新統計|令和6年の発生状況

労働災害の事例と最新統計|令和6年の発生状況

労働災害の発生実態は、業種や事故の型によって傾向が大きく異なります。厚生労働省が公表する労働災害発生状況の統計を踏まえて、代表的な事例と発生の構造を整理していきましょう。

令和6年 労働災害発生状況サマリー

厚生労働省の「令和6年の労働災害発生状況(確定値)」によれば、死亡者数は746人と過去最少水準となった一方、休業4日以上の死傷者数は135,718人で4年連続の増加となっています。

区分令和5年令和6年前年比
死亡者数755人746人▲9人(過去最少水準)
休業4日以上の死傷者数135,371人135,718人+347人(4年連続増)
事故の型別1位(死傷)転倒 36,058人転倒 36,378人+320人
事故の型別1位(死亡)墜落・転落 204人墜落・転落 188人▲16人
業種別1位(死亡)建設業 223人建設業 232人+9人

出典:令和6年の労働災害発生状況を公表・厚生労働省

業種別に見る代表的な労働災害の型

死亡災害では、建設業が全体の約3割を占めて最多となっています。事故の型では墜落・転落が最多で、令和6年は188人が命を落としています。屋根・足場・開口部からの転落が典型的な発生パターンです。

死傷災害全体では、製造業が26,676人(令和6年)で最も多い業種となっています。とりわけ「はさまれ・巻き込まれ」による事故は、プレス機械・ローラーコンベア・旋盤などの回転機械で毎年多発しており、一度発生すると切断や骨折など重篤化しやすい類型です。

全業種を通じた最多類型は「転倒」で、令和6年は36,378人が被災しています。作業床のぬめり・段差・整理整頓の不備といった日常的な不安全状態が引き金となるケースが多く、加齢に伴う身体機能の低下が背景要因の一つとして指摘されています。

職場における熱中症の発生実態

近年、猛暑の常態化に伴い、職場における熱中症も無視できない労働災害の一領域となっています。厚生労働省の統計では、令和6年の職場における熱中症の死傷者数は1,257人(前年比14%増)に達し、うち死亡者は31人でした。

業種別に見ると、建設業と製造業で全死傷者の約4割が発生しています。死亡事例に共通する要因として、厚生労働省の報告ではWBGT(暑さ指数)を把握していなかった事案や、初期対応が遅れて重症化した事案が指摘されています。

出典:令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)・厚生労働省

労働災害発生時に企業に問われる法的責任

労働災害発生時に企業に問われる法的責任

労働災害が発生した場合、事業者は労災保険の手続きだけでなく、刑事・民事・行政の各面から責任を問われる可能性があります。特に近年は、安全配慮義務違反による損害賠償請求や、労災隠しに対する刑事捜査が厳格化しています。

民事責任|労働契約法第5条の安全配慮義務

労働契約法第5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。

この安全配慮義務に違反したと評価された場合、事業者は民法上の債務不履行責任として損害賠償責任を負う可能性があります。判断では、危険を予測できたかという予見可能性と、回避措置を講じたかという結果回避可能性の2点が問われる傾向です。労災保険は損害の全額を補填する仕組みではないため、慰謝料や逸失利益の差額は自社資金からの支払いになります。

刑事責任|労働安全衛生法の両罰規定

労働安全衛生法には、直接の実行行為者だけでなく、事業者である法人にも罰金刑を科す両罰規定が設けられています。安全装置の未設置、作業主任者の不選任、安全衛生教育の不実施などが問われた事例では、罰則の適用が現実に行われてきました。

罰則の水準は違反類型によって異なり、条項によって「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」等が定められています。行政面では、労働基準監督署による是正勧告・改善命令に加え、悪質な事案では企業名の公表が行われることもあります。

労働者死傷病報告の提出義務と「労災隠し」

事業場で労働災害が発生し、労働者が休業または死亡した場合、事業主は労働基準監督署へ労働者死傷病報告を提出する義務を負います。休業4日以上または死亡の事案は遅滞なく、休業1〜3日の事案は四半期ごとに提出する仕組みです。

報告義務を怠ったり、虚偽の報告を行う行為は「労災隠し」と呼ばれ、労働安全衛生法違反として刑事罰の対象となります。労災保険料のメリット制による負担増を避けたい、社会的信用の低下を避けたいといった動機で発生しがちですが、発覚時のダメージは比較にならないほど大きくなる点は押さえておきたいポイントです。

出典:労働災害が発生したとき・厚生労働省

労働災害を防ぐには|従来対策と個人リスク可視化の組み合わせ

労働災害を防ぐには|従来対策と個人リスク可視化の組み合わせ

労働災害の防止は、作業環境の整備、リスクアセスメントとKYT(危険予知訓練)、安全衛生教育を中心に組み立てられてきました。近年は、これらに個人の生体データを組み合わせる考え方が広がりつつあります。

ここからは、従来対策の要点と、それを補完する現代的な選択肢を順に見ていきましょう。

作業環境の整備とリスクアセスメント

労働災害の防止では、まず作業環境と作業手順の側にある「不安全状態」を取り除く取り組みが基本になります。5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)による転倒リスクの低減、安全装置の設置、保護具の着用ルール化などが該当します。

組織的に取り組む枠組みとして位置づけられているのがリスクアセスメントです。労働安全衛生法第28条の2で、事業者による危険性・有害性の調査と必要な措置が努力義務として規定されており、化学物質などリスクアセスメント対象物については実施が義務化されています。

KYT(危険予知訓練)と安全衛生教育

作業者側の「不安全行動」に対しては、KYT(危険予知訓練)に代表される安全先取り手法が有効です。作業前に潜む危険を小集団で話し合い、対策と行動目標を決めて実行するプロセスによって、危険への感受性を継続的に高めていく手法として、中央労働災害防止協会(中災防)が長年推進してきました。

厚生労働省の労働災害原因要素の分析では、労働災害の背景には不安全状態と不安全行動の両方が関わる事案が大部分を占めるとされています。作業環境の整備と、作業者の行動側への働きかけを両輪で回すことが、防止策を機能させる基盤となります。

従来対策で捉えにくい「個人の生理的負担」

作業環境の計測や自己申告に依存する管理では、把握しづらい領域も残ります。たとえば猛暑環境下では、同じWBGT値の現場で作業していても、年齢・体格・持病・前夜の睡眠状態・当日の疲労蓄積・着衣の通気性によって、身体的負担の現れ方が個人ごとに異なる場合があります。

また、集中力の低下や判断ミスといった不安全行動の背景には、心身の不調や疲労蓄積による認知機能の低下が影響しているケースも指摘されています。目視観察や本人の自己申告だけでは、作業者が異変を訴える前段階での兆候を捉えにくい点は、従来の管理手法が抱える構造的な課題の一つといえるでしょう。

バイタルデータによる補完的なモニタリング

こうした死角を補う選択肢として、心拍・脈波などのバイタルデータをウェアラブルデバイスで継続的に取得し、参考情報として活用するアプローチが広がっています。作業者本人が自覚する前、あるいは監督者が異変に気付く前の段階で、休憩や水分補給を促すきっかけとして活用する使い方です。厚生労働省が2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則で熱中症対策を強化した際にも、体制整備の補完手段としてウェアラブルデバイスの活用に言及されています。

猛暑リスクの可視化を支えるウェアラブルIoT「hamon band」

hamon bandシリーズ

ミツフジ株式会社が提供するhamon bandシリーズは、産業現場の安全管理を目的に設計されたウェアラブルIoTデバイスです。銀めっき導電性繊維「AGposs®」で培った生体情報取得技術を、猛暑リスクの補助的な可視化に落とし込んで展開しています。

深部体温の変化を推定する特許アルゴリズム

hamon bandの中核をなすのは、産業医科大学と前田建設工業との共同研究で開発された、脈波から深部体温の上昇・下降の変化を推定するアルゴリズムです。手首の脈波データから、熱中症の重要な生理指標の一つとされる深部体温の変化を推定できる点が特長であり、日本において特許第7175473号として登録されています。

なお、深部体温は本来、直腸や食道などから測定する体内温度であり、hamon bandが提供するのは「測定」ではなく「推定」した参考データです。医療機器として熱中症を確定診断するものではない点は、あらかじめご理解ください。

hamon band S/V/Nの通信環境別の使い分け

hamon band シリーズは、現場の通信環境や管理体制に合わせて選べる3グレードを用意しています。巻くだけで猛暑リスクや体調変化を可視化できる設計とし、既存の作業手順を大きく変えずに導入できる点を狙いとしています。

スクロールできます
モデル通信主な通知方法想定シーン
hamon band Sスマホ・ネット不要LED・音・振動(着用者本人)通信環境のない現場、まず本人通知から始めたい現場
hamon band VBLEでアプリ同期Sの機能+時計表示時計として日常運用しつつ通知を活かしたい現場
hamon band Ne-SIM/LTE画面表示・振動、管理者が遠隔で一元管理広域の現場や巡回困難な作業を管理者が集中管理したい現場

モデルごとに通知方法・通信仕様が異なります。仕様の詳細や最新情報は、ミツフジ公式サイト等でご確認ください。

関連するハイエンドモデル「MITSUFUJI 03」

hamon band シリーズの関連するハイエンドモデルとして、e-SIM搭載スマートウォッチ「MITSUFUJI 03」も展開しています。hamon band Nの機能を拡張した別製品として、ストレス・集中度・コンディション情報、転倒検知、GPSを備えたモデルです。一人作業を含むリスクの高い現場での安全管理支援を狙いとしています。

現場の運用範囲と管理体制に応じて、hamon band シリーズとMITSUFUJI 03を組み合わせて運用することも可能です。

まとめ|労働災害防止は「環境」と「個人」の両輪で

労働災害防止は「環境」と「個人」の両輪で

労働災害は、労働者の生命と健康に直結すると同時に、企業の法的責任や経営リスクを大きく左右する課題です。厚生労働省の令和6年統計では死亡者数が過去最少水準となる一方で、休業4日以上の死傷者数は4年連続で増加しており、転倒・墜落・熱中症を中心に安全管理の再点検が求められています。

5S活動・KYT・リスクアセスメントといった従来対策は、労働災害防止の基盤として今後も欠かせません。ここに、環境計測や自己申告では捉えにくい個人の生理的負担をバイタルデータで補完する視点を加えることで、防止策の実効性を一段引き上げていけるでしょう。従来対策を土台にしつつ、拾いきれない個人差の領域をテクノロジーで補いたい方は、hamon bandシリーズの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

▼参考文献

・労働災害|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識・厚生労働省
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_roudousaigai.html

・労働災害が発生したとき・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.html

・業務災害(安全衛生キーワード)|職場のあんぜんサイト・厚生労働省
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo05_1.html

・令和6年の労働災害発生状況を公表・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58198.html

・令和5年の労働災害発生状況を公表・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40395.html

・令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58389.html

・令和5年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40473.html

・労働契約法|e-Gov法令検索(第5条 安全配慮義務)
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128

・労働安全衛生法|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057

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