「深部体温と熱中症にはどんな関係があるの?」
「深部体温を下げる方法を知りたい」
このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。
深部体温とは、脳や内臓など身体内部の温度を指し、外気温などの影響を受けにくいのが特徴です。深部体温は熱中症リスクの本質に関わるほか、睡眠の質にも影響を与える重要な指標です。
本記事では、深部体温と熱中症・睡眠の質との関係性や深部体温を効率よく下げる方法を解説します。建設現場や工場など屋外・高温環境で働く方に向けた熱中症対策も紹介しているので、参考にしてみてください。
深部体温とは?脳や内臓などの身体内部の温度

深部体温(体内温度)とは、脳や内臓など身体内部の温度です。身体の内側で保たれている温度で、外気温の影響を受けにくい点が特徴です。
一方で、皮膚の表面温度は「体表温度」と呼ばれます。体表温度は身体の表面に近い部分の温度を指すため、外気温や風、日差しなどの影響を受けやすいです。
深部体温は熱中症の発症リスクや睡眠の質に大きく影響するとされています。それぞれとの関係性を順番に確認してみましょう。
深部体温の基礎から理解したい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

深部体温と熱中症の関係性
医療現場では、深部体温を熱中症の重症度を示す指数の一つとして活用しています。
熱中症は、猛暑環境により体温調節機能がうまく機能しなくなり、体内に熱がこもることで発症します。
外部の影響を受けにくい深部体温は、体内の熱の状態をより正確に把握できる指標です。そのため、熱中症のリスクを的確に見極められます。
2025年6月からは、一定の条件を満たす作業において熱中症対策が義務化されました。事業者には、熱中症のおそれがある労働者を早期に発見・対応できる体制の整備などが求められています。義務化の詳細を知りたい方は「熱中症対策の義務化で何をする?対象企業や具体策をガイドラインをもとに解説」の記事をあわせてご覧ください。
近年では、建設現場や工場で、深部体温の変化を推定し、猛暑リスクを検知するリストバンド型・スマートウォッチ型のウェアラブルデバイス製品の導入が進んでいます。従業員の体調変化をリアルタイムで把握しやすくなり、熱中症の予防や早期対応に役立つことから、多くの現場で活用されています。
記事後半では「深部体温の変化を測定するおすすめのウェアラブルデバイス3選」も紹介しているので、導入を検討している方は、このまま読み進めてみてください。
深部体温と睡眠の関係性
深部体温は、睡眠の質にも密接に関わっています。
人間の身体は眠る前に深部体温が徐々に低下することで、自然な眠気を感じやすくなる仕組みです。そのため、就寝前に深部体温が十分に下がらないと寝つきが悪くなり、眠りの浅さや途中覚醒といった睡眠の質の低下も招きやすくなります。
入浴・食事には一時的に深部体温を上昇させる作用があるため、寝る2〜3時間前までに済ませておくと、就寝する頃には深部体温が自然に下がり、スムーズな入眠につながりやすくなります。
深部体温を下げる3つの方法

深部体温は自然に下がるのを待つだけでなく、工夫次第で意図的に下げられます。ここでは、日常生活や職場でも取り入れやすい3つの方法を紹介します。
- 身体を冷たいもので冷やす
- 仕事・運動の前に身体を内側から冷やす
- 体温を下げる効果のある食材を食べる
それぞれの方法を実践し、熱中症リスクを軽減しましょう。
身体を冷たいもので冷やす
取り入れやすいのが、身体の表面から冷やして深部体温を下げる方法です。ただし、闇雲に冷やすのではなく、効率よく熱を奪える部位を狙うのがポイントです。
冷却効果が高いとされる部位は、以下のとおりです。
- 脇の下
- 両側の首筋
- 足の付け根
これらの部位は太い血管が体表近くを通っているため、効率的に身体を冷やせます。冷却剤や保冷剤、冷たい水で濡らしたタオルなどを活用して、身体にこもった熱を逃がしましょう。
仕事・運動の前に身体を内側から冷やす
仕事の作業や運動前に身体を内側から冷やしておくと、深部体温の上昇そのものを抑えられます。これは「プレクーリング」と呼ばれる考え方で、熱中症予防の対策の1つとして厚生労働省でも推奨されている方法です。
プレクーリングの代表的な方法の一つが、アイススラリーと呼ばれる飲料の摂取です。アイススラリーとは、微細な氷の粒子と液体が混ざったシャーベット状のものです。
口から胃や腸へ冷たさを届けることで、身体の内側から効率よく熱を逃がし、深部体温の上昇を抑える効果が期待できます。最近では、市販品も多く販売されているため、手軽にプレクーリングを実践できます。
建設現場や工場などで働く方は、屋外作業に入る前や長時間の高温環境での作業前に摂取して、深部体温の急上昇を抑えましょう。
体温を下げる効果のある食材を食べる
深部体温を下げるには、日々の食事を工夫することも大切です。水分やカリウムを豊富に含む食材は、身体にこもった熱を逃がしやすくする働きが期待できます。
代表的な食材は、以下のとおりです。
| 食材 | 特徴 |
|---|---|
| きゅうり | 約95%が水分で、身体の熱を逃がしながら水分補給ができる |
| トマト | カリウムやリコピンを豊富に含み、水分バランスの維持や体温調節をサポートする |
| スイカ | 水分と糖分・ミネラルをバランスよく含み、発汗で失った水分や電解質の補給に適する |
これらの食材を水分補給とあわせて取り入れることで、身体にこもった熱を逃がしやすくなり、深部体温の上昇を抑える効果が期待できます。
暑さに負けない!現場でできる猛暑リスク対策6選

深部体温を下げる工夫と並行して、現場全体で猛暑リスクを下げる対策を組み合わせると、熱中症予防の精度を高められます。
ここでは、建設現場や工場で取り組みやすい6つの対策を紹介します。
- WBGT値を確認する
- 暑熱順化を進める
- こまめに水分・塩分補給をする
- 作業場・休憩場所を涼しい環境に整える
- 熱中症対策のアイテムを活用する
- ウェアラブルデバイスで猛暑リスク対策を実施する
順番に見ていきましょう。
WBGT値を確認する
WBGT値(暑さ指数)は、気温・湿度・輻射熱(ふくしゃねつ:地面や建物から放射される熱)を総合的に評価した熱中症リスクの指標です。通常の気温と異なり、湿度や日射の影響を加味するため、実際の暑さや熱中症リスクをより正確に把握できるのが特徴です。
WBGT値は作業内容や身体への負荷に応じて、基準値が定められています。基準値を超える場合は、冷房設備の導入や休憩時間の確保などにより、WBGT値を低減する対策が求められます。
以下の記事では、WBGT値の基準値や測定方法について詳しく解説しています。自社の作業環境における基準値を把握し、熱中症対策を進める際の参考にしてみてください。

暑熱順化(しょねつじゅんか)を進める
暑熱順化とは、身体が暑さに慣れる状態のことです。急に猛暑の環境で作業に入ると身体が対応できず、熱中症を発症しやすくなります。
本格的な暑さが到来する前の時期から、軽い運動や入浴で意識的に発汗する習慣を作り、身体を暑さに慣らしておくことが有効です。
新規入場者や休み明けの作業員は暑熱順化が進んでいないケースも少なくありません。そのため、初日の作業量を控えめにしたり、こまめに休憩を取ったりするなどして、身体を徐々に暑さへ慣らしていきましょう。
こまめに水分・塩分補給をする
発汗によって失われる水分と塩分の補給は、熱中症予防の基本であり、欠かせない対策です。
大量に汗をかく状況では、水だけでなくスポーツドリンクや経口補水液を併用することで、失われた電解質(ナトリウムやカリウムなどのミネラル)を効率よく補えます。
作業に集中すると水分補給を忘れてしまいがちなので、以下のように職場全体で共通ルールを設けると水分・塩分補給を習慣化しやすくなります。
- 休憩所に飲料水や経口補水液を常備する
- 時間を決めて水分補給を強制的に実施する
- 朝礼や休憩前に水分補給を呼びかける
- 作業責任者が従業員の水分補給状況を確認する
こまめに水分・塩分を補給し、熱中症を予防しましょう。
作業場・休憩場所を涼しい環境に整える
涼しい環境の確保は、深部体温の上昇を抑える即効性のある対策です。
作業場の具体的な対策としては、屋内作業では空調設備や大型ファンを活用し、作業場所の温度や湿度を下げることが効果的です。屋外作業では、シャワーミストの設置や遮熱シート・テントなどで日陰を確保すると、暑さを軽減しやすくなります。
休憩場所は、室内であればクーラーを設置し、屋外であれば日陰で風通しのよい場所を確保しましょう。
休憩所の設置場所は、作業員が「休憩を取りに行きやすい距離」に設けることが重要です。距離が遠すぎると休憩を後回しにする傾向が生まれてしまいます。
熱中症対策のアイテムを活用する
身体を効率的に冷却できる熱中症対策アイテムを活用することも有効です。人力での対策には限界があるため、道具の力を積極的に取り入れることが安全管理の底上げにつながります。
熱中症対策の代表的なアイテムは以下のとおりです。
| アイテム | 特徴 |
|---|---|
| 空調服・冷却ベスト | ファンや保冷剤で身体を継続的に冷却する |
| 冷却タオル・ネッククーラー | 太い血管が通る首を冷やして体温を下げる |
| 遮熱ヘルメット・帽子 | 直射日光による輻射熱を軽減する |
アイテムの活用を個人任せにすると対策が不十分になる可能性があるため、装備の支給や貸与ルールを整備するなどして、現場全体で運用していくことも検討してみましょう。
ウェアラブルデバイスで猛暑リスク対策を実施する
近年、熱中症対策の新たな選択肢として注目されているのが、ウェアラブルデバイスの活用です。ウェアラブルデバイスとは、身に着けて使用する電子機器のことで、猛暑リスク対策向けの製品では体表温度や深部体温の変化を推定・測定できるものがあります。
猛暑リスクを検知すると、アラート音や振動で本人へ通知し、休憩や水分補給を促せます。また、管理者と作業員本人の双方に通知が届く製品も多いため、体調変化にいち早く気付き、迅速な対応につなげられます。
ウェアラブルデバイスの種類や機能を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

深部体温の変化を測定するウェアラブルデバイス3選

ここでは、深部体温の変化を測定できるウェアラブルデバイスを3つ紹介します。
- hamon bandシリーズ|ミツフジ株式会社
- カナリア|Biodata Bank株式会社
- aiwa band|アイワマーケティングジャパン株式会社
順番に見ていきましょう。
hamon bandシリーズ|ミツフジ株式会社

出典:ミツフジ株式会社
「hamon band」シリーズは、ミツフジ株式会社(弊社)が提供する猛暑リスク対策用のリストバンドならびにスマートウォッチです。建設現場や工場などの暑熱環境で働く方々の声をもとに開発された製品です。
学校法人産業医科大学、前田建設工業株式会社との共同研究により開発した、着用者の脈波から深部体温上昇および下降の変化を推定・可視化できる世界初の特許アルゴリズムを搭載しており、猛暑リスクを早期に把握できる点が特長です。
従業員の猛暑リスクを色、バイブレーション、音、ディスプレイ表示で事前に知らせ、水分補給や休憩を促します。
「hamon bandシリーズ」は、4つのモデルが展開されており、それぞれの特徴を以下にまとめました。
| モデル | 特徴 |
|---|---|
| hamon band S | シンプルな機能で猛暑リスク対策を手軽に始めたい企業向け |
| hamon band V | 基本機能はそのままに、時計表示機能を加えたhamon band Sの上位モデル |
| hamon band N | SOS発信機能とe-SIMを搭載し、クラウドとの連携で従業員の健康状態を一元管理できる |
| MITSUFUJI 03 | hamon band Nの機能に加え、転倒検知やストレス測定などの健康管理機能も搭載 |
利用シーンや管理したい項目に応じて最適なモデルを選択できるため、現場環境に合わせた運用が可能です。
貴社の課題や運用環境に合わせて最適なモデルをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
カナリアPlus|Biodata Bank 株式会社

カナリアPlusは、Biodata Bank株式会社が提供するリストバンド型のウェアラブルデバイスです。
独自技術「熱ごもりセンサー®」を搭載しており、体内の熱の産出と放出のバランスから深部体温の上昇を予測できます。異変を検知すると、色の変化や振動で本人と管理者に通知する仕組みです。
建設・工場・インフラ・エネルギー業界で導入実績があり、屋外・高温環境での作業者の見守りに活用されています。
aiwa band|アイワマーケティングジャパン株式会社

aiwa bandは、アイワマーケティングジャパン株式会社が提供するスマートバンド型のウェアラブルデバイスです。
ミツフジ株式会社(弊社)が開発した、着用者の心拍情報から深部体温上昇変化を推定するアルゴリズムを応用しています。
100種以上のスポーツモードや睡眠モニターなどの機能も充実しており、日常の健康管理から運動時のコンディション管理まで幅広いシーンで活用できます。
深部体温に関するよくある質問

深部体温に関するよくある質問と回答をまとめます。
深部体温の測り方を教えてください
深部体温は体内にある器官の温度のため、一般的な体温計では直接は測れません。
医療現場では、直腸や食道など、体内にセンサを挿入して測定します。
深部体温ではないものの、近い指標として「口腔温(舌下温)」「鼓膜温」などが用いられることがあります。
また、近年では脈波などのデータから深部体温の変化を推定できるウェアラブルデバイスも登場しています。
深部体温が高い人の特徴を教えてください
深部体温は、身体の活動状態や環境要因によって変動します。以下のような状態にある方は、深部体温が高くなりやすい傾向にあります。
- 高温多湿の環境で長時間過ごしている人
- 運動や肉体労働している人
- 発熱している人
- 厚着や防護服を着用している人
深部体温が高い状態が続くと熱中症のリスクが高まるため、こまめな水分・塩分補給や身体の冷却などを実施して、深部体温の上昇を抑えることが大切です。
深部体温の下げる方法を知って熱中症を予防しよう

猛暑環境では、深部体温の変化を把握しながら対策を講じることで、従業員の安全確保につながります。特に建設現場や工場など屋外・高温環境で働く従業員を抱える企業では、ウェアラブルデバイスを活用した客観的なモニタリングも有効な選択肢です。
例えば、ミツフジ株式会社(弊社)が提供するスマートウォッチ「hamon bandシリーズ」は、着用者の脈波から深部体温の変化を推定・可視化できる世界初の特許アルゴリズムを搭載しています。猛暑リスクをリアルタイムで把握し、熱中症の予防や早期対応に役立てられます。
従業員の安全管理を強化したい企業は、深部体温の変化を推定できるウェアラブルデバイスの導入も検討してみてください。





