「バイタルデータにはどのような情報が含まれるの?」
「従業員の健康管理で、バイタルデータをどのように活用すればいいの?」
このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。
バイタルデータとは、体温や脈拍、血圧など、人の健康状態を把握するための生体情報のことです。
近年はIoT技術の発展により、ウェアラブルデバイス(腕や身体に装着して生体情報を測定・記録する機器)や各種センサーを活用し、対象者の健康状態をリアルタイムで把握する取り組みが広がっています。
本記事では、バイタルデータの概要や代表的なデータ項目をわかりやすく解説します。業界ごとの活用例も紹介しているので、バイタルデータを健康管理や安全管理に取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
バイタルデータとは?身体の状態を数値化した生体情報

バイタルデータとは、人間の生命維持に関わる身体の状態を数値化した生体情報の総称です。
体温・脈拍・呼吸・血圧などの基本的な指標に加え、身体の状態を多角的に把握するため、心拍変動(HRV)や血中酸素飽和度(SpO₂)も測定される機会が増えています。
バイタルデータは、主に医療現場や介護現場で健康状態を把握するために活用されています。入院患者や介護施設の利用者の体調変化を早期に発見し、適切な処置やケアにつなげるために欠かせない情報です。
近年では、建設現場や工場といった従業員の安全管理が求められる職場でもバイタルデータが活用されています。
猛暑環境や身体的負荷の大きい作業では、熱中症や体調不良、疲労の蓄積による労働災害のリスクが高まります。このような背景から、ウェアラブルデバイスなどを活用してバイタルデータを継続的に測定し、従業員の安全管理や体調管理に役立てる企業が増えています。
バイタルサイン・バイタルセンシングの違い
バイタルデータと似た言葉に「バイタルサイン」「バイタルセンシング」があります。それぞれの意味は以下のとおりです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| バイタルサイン | 「人が生きている状態」を意味し、体温・脈拍・呼吸・血圧の4項目が基本 |
| バイタルセンシング | センサーやウェアラブルデバイスを用いて、体温や心拍数、呼吸数などの生体情報を継続的に測定・収集する技術や仕組み |
つまり、バイタルデータは健康状態を示す「情報」、バイタルサインは生命維持に関わる基本的な「指標」、バイタルセンシングはそれらのデータを取得するための「技術」を意味します。
以下の記事では、バイタルセンシングの仕組みや建設現場・工場での活用方法について詳しく解説しています。違いの理解を深めたい方は、あわせてご覧ください。

【一覧】バイタルデータに含まれる代表的な項目

バイタルデータに含まれる代表的な項目を6つ紹介します。
- 体温
- 脈拍
- 心拍変動
- 呼吸数
- 血圧
- 血中酸素飽和度
順番に見ていきましょう。
体温|体内の熱の状態を示す基本的な生体情報
体温は、身体の熱の状態を示す基本的なバイタルサインです。
成人の平熱には個人差がありますが、一般的には36.0〜37.0℃が正常範囲の目安とされています。
体温データは、発熱や低体温などの体調変化を把握できるほか、感染症や炎症の兆候を確認するためにも活用されており、医療機関や介護施設で日常的に測定されています。
近年では、体表の温度だけでなく、脳や内臓など身体内部の温度である「深部体温」の変化を推定する技術も普及し始めています。例えば、ミツフジ株式会社(弊社)が提供する「hamon bandシリーズ」には、着用者の脈波から深部体温の変化を推定・可視化できる世界初の特許アルゴリズムが搭載されています。
建設現場や工場などの暑熱環境では、深部体温の変化を継続的に把握することで、熱中症リスクの早期発見や安全管理に役立てられています。
深部体温と熱中症の関係性については、以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

脈拍|1分間あたりの心臓の拍動回数
脈拍とは、1分間あたりの心臓の拍動回数を示すバイタルサインです。
成人の安静時の脈拍は一般的に60〜100回/分とされており、運動や精神的な緊張、ストレスなどによって変動します。
脈拍は身体への負荷や活動量を把握するための指標であり、医療現場では患者の健康状態の評価に、スポーツ分野では運動強度やトレーニング効果の管理に活用されています。
心拍変動|心拍リズムの揺らぎを数値化した指標
心拍変動(HRV)は、心拍と心拍の間隔のゆらぎを数値化した指標です。
自律神経の働きを反映するため、疲労やストレス、回復状態などを把握する指標として、医療や研究分野で広く活用されています。
一般的に、HRVが低い状態は、自律神経のバランスが乱れ、疲労やストレスによる負担が高まっている可能性があります。一方、HRVが高い状態は、自律神経のバランスが整い、疲労が少なく、心身がリラックスしている傾向を示します。
ただし、HRVは年齢や性別などによって数値に個人差が生じる指標です。そのため、数値だけで健康状態を判断するのではなく、自分自身の平常時(ベースライン)との変化を継続的に確認することが重要です。
以下の記事では、心拍変動について詳しく解説しています。疲労やストレスとの関係性や正常値の目安に加え、建設現場・工場で心拍変動を活用するメリットも紹介しているので、参考にしてみてください。
関連記事:心拍変動(HRV)とは?(記事完成後、内部リンク)
呼吸数|1分間あたりの呼吸回数
呼吸数は、呼吸の状態や体調の変化を把握するうえで欠かせない情報です。
成人の安静時の正常値は一般的に12〜20回/分とされており、運動や発熱、精神的な緊張などによって変化します。
呼吸数が多い状態は、発熱や呼吸器疾患などの影響が考えられます。一方、呼吸数が少ない状態は、中枢神経の異常や薬剤の影響などが原因となる場合があります。
呼吸数は異常の早期発見につながるバイタルサインです。特に、医療機関や介護施設において、患者・利用者の健康状態を把握するため、日常的に測定されています。
血圧|血液が血管の壁を押す圧力
血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁にかける圧力を表すバイタルサインです。
日本高血圧学会が公表した「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、全年齢の高血圧患者における降圧目標を「130/80mmHg未満」としています。
高血圧の状態が続くと、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病などの循環器疾患を発症するリスクが高まります。一方、低血圧では、めまいや立ちくらみ、失神などを引き起こす場合があります。
血圧は、全身の健康状態を把握するための基本的な指標です。医療・介護現場だけでなく、家庭での日常的な健康管理にも広く活用されています。
参考:高血圧管理・治療ガイドライン 2025~改訂ポイント~|阿部雅紀 J. Nihon Univ. Med. Ass., 2025; 84 (6): 257–261
血中酸素飽和度|血液中の酸素がどの程度運搬されているかを示す指標
血中酸素飽和度(SpO₂)は、血液中のヘモグロビンがどの程度酸素と結び付いているかを示すデータです。
健康な方では、96〜99%程度が正常範囲とされており、数値が低下すると、呼吸器疾患や循環器疾患などによる酸素不足が疑われることがあります。
在宅医療や介護現場、高齢者の健康管理でも日常的に測定されており、近年ではウェアラブルデバイスによる健康モニタリングへの活用も進んでいます。
【業界別】バイタルデータの活用目的

バイタルデータは、もともと医療現場で患者の健康状態や病状の変化を把握するために活用されてきました。
しかし近年では、介護現場や建設現場・工場など、さまざまな業界でも活用が広がっており、患者や施設利用者の健康管理のほか、従業員の安全管理・労働災害の防止にも役立てられています。
ここでは、業界別にバイタルデータの主な活用目的を紹介します。
- 医療現場の場合
- 介護現場の場合
- 建設現場・工場の場合
順番に見ていきましょう。
医療現場の場合
医療現場では、患者の体温・脈拍・血圧・呼吸数などのバイタルデータをリアルタイムで把握するために活用されています。
入院患者や術後患者は容体が急変するリスクがあるため、継続的なモニタリングが欠かせません。バイタルデータを常時計測すれば、容体の変化や異常値を早期に発見でき、迅速な治療や対応につなげられます。
医療現場では、各バイタルデータを高精度に測定できる専用の医療機器が使用されています。得られたデータは電子カルテなどと連携され、診断や治療方針の決定にも活用されます。
介護現場の場合
介護現場では、高齢者の健康状態を継続的に把握し、適切なケアにつなげるためにバイタルデータが活用されています。
高齢者は自覚症状が少ないまま体調が悪化するケースも少なくありません。心拍数や体温、呼吸数などのバイタルデータを継続的にモニタリングすれば、小さな変化にも気付きやすくなります。その結果、体調悪化の早期発見や早期対応につながり、重症化の予防が期待できます。
近年では、見守りシステムとバイタルセンシング技術を組み合わせたサービスの導入も進んでいます。
例えば、見守りカメラやベッドセンサーなどの製品です。ベッドセンサーは、離床や睡眠状態を見守るだけでなく、製品によっては心拍数や呼吸数などのバイタルデータも取得できるため、利用者の体調変化を早期に把握するのに役立ちます。
これらのデータを継続的に活用すれば、定期巡回や夜間巡回の負担軽減につながるほか、限られた人員でも利用者の状態を把握しやすくなるため、介護スタッフの業務効率化や人手不足対策にもつながります。
以下の記事では、見守りシステムについて詳しく解説しています。介護現場や建設現場・工場の見守りに活用できる製品も紹介しているので、参考にしてみてください。

建設現場・工場の場合
建設現場や工場では、屋外・高温環境下で働く作業員の安全管理にバイタルデータが活用されています。
例えば、ウェアラブルデバイスなどを活用して、体表温度や体内温度(深部体温)の変化を継続的にモニタリングすれば、猛暑リスクを早期に検知し、適切なタイミングで休憩や水分補給を促せます。
2025年6月からは、職場における熱中症対策が義務化されました。政府も熱中症対策の一つとして、ウェアラブルデバイスなどを活用した従業員の健康状態の把握を推奨しています。熱中症対策の義務化について詳しく知りたい方は、「熱中症対策の義務化で何をする?対象企業や具体策をガイドラインをもとに解説」をあわせてご覧ください。
また、心拍数・心拍変動のモニタリングから従業員のストレス状態を推定できます。
労働安全衛生法改正により、従業員を抱える事業場ではストレスチェックの実施が義務付けられました。バイタルデータを活用したストレスのモニタリングは、ストレスチェックを補完する手段として活用できるほか、メンタルヘルス不調の予防や早期対応にも役立ちます。
以下の記事では、ストレスチェックの実施目的や対象者について詳しく解説しています。実施の流れも紹介しているので、これから取り組む担当者の方は、参考にしてみてください。

バイタルデータを取得できるIoT体温センサーとは?

IoT体温センサーとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を活用して、インターネット経由でデータを送信できる体温センサーです。
ウェアラブル端末や貼付型センサーに搭載されることが多く、装着したまま体温を継続的に測定できる点が特徴です。従来の体温計は測定時点の数値しか把握できませんが、IoT体温センサーは「連続計測」と「リアルタイム送信」が可能なため、体調の変化を細かく追跡できます。
取得したデータはクラウド上に蓄積され、管理者がダッシュボードで確認できる仕組みが一般的です。医療・介護現場での患者や利用者のモニタリングから建設現場・工場で働く従業員の体調管理まで、幅広い場面で活用されています。
以下の記事では、ウェアラブルデバイスの種類や機能について詳しく解説しています。ウェアラブルデバイスを活用した健康管理や安全管理に興味がある方は、あわせてご覧ください。

現場で使える!バイタルデータ取得対応のウェアラブルデバイス3選

バイタルデータは、医療や介護だけでなく、建設現場や工場など、作業員の安全管理が求められる現場でも幅広く活用されています。特に建設現場や工場では、熱中症や体調不良のリスクを早期に把握するため、ウェアラブルデバイスを導入する企業が増えています。
ここでは、建設現場や工場で活用できるバイタルデータ取得対応のウェアラブルデバイスを3つ紹介します。
- hamon bandシリーズ|ミツフジ株式会社
- カナリアPlus|Biodata Bank株式会社
- みまもりがじゅ丸®|NTTPCコミュニケーションズ株式会社
順番に見ていきましょう。
hamon bandシリーズ|ミツフジ株式会社

出典:ミツフジ株式会社
「hamon bandシリーズ」は、ミツフジ株式会社(弊社)が提供する猛暑リスク対策用のリストバンドならびにスマートウォッチです。建設現場や工場などの暑熱環境で働く方々の声をもとに開発された製品です。
学校法人産業医科大学、前田建設工業株式会社との共同研究により開発した、着用者の脈波から深部体温上昇および下降の変化を推定・可視化できる世界初の特許アルゴリズムを搭載しており、猛暑リスクを早期に把握できる点が特長です。
従業員の猛暑リスクを色、バイブレーション、音、ディスプレイ表示で事前に知らせ、水分補給や休憩を促します。
心拍変動解析をベースにした独自のアルゴリズムにより、MITSUFUJI 03モデルにおいてはストレスやコンディションの状態も可視化可能です。
「hamon bandシリーズ」は、4つのモデルが展開されており、それぞれの特徴を以下にまとめました。
| モデル | 特徴 |
|---|---|
| hamon band S | シンプルな機能で猛暑リスク対策を手軽に始めたい企業向け |
| hamon band V | 基本機能はそのままに、時計表示機能を加えたhamon band Sの上位モデル |
| hamon band N | SOS発信機能とe-SIMを搭載し、クラウドとの連携で従業員の健康状態を一元管理できる |
| MITSUFUJI 03 | hamon band Nの機能に加え、転倒検知やストレス測定などの健康管理機能も搭載 |
利用シーンや管理したい項目に応じて最適なモデルを選択できるため、現場環境に合わせた運用が可能です。
貴社の課題や運用環境に合わせて最適なモデルをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
カナリアPlus|Biodata Bank株式会社

カナリアPlusは、Biodata Bank株式会社が提供するリストバンド型のウェアラブルデバイスです。
独自技術「熱ごもりセンサー®」により、身体にこもる熱の変化を検知して作業員の体調変化を捉えられます。取得したデータはクラウドで管理でき、複数の作業員の状態を一括で確認できるため、規模の大きい現場での運用にも対応しやすい設計です。
建設・工場・インフラ・エネルギー業界で導入実績があり、屋外や高温環境で作業する従業員のバイタル管理に幅広く活用されています。
みまもりがじゅ丸®|NTTPCコミュニケーションズ株式会社

みまもりがじゅ丸®は、NTTPCコミュニケーションズ株式会社が提供する腕時計型のウェアラブルデバイスです。
脈拍と位置情報をリアルタイムで取得・記録し、作業者の体調や居場所を一元管理できます。
専用のダッシュボードでは、通常とは異なる脈拍の変化や作業者の現在地をリアルタイムで確認できるため、体調変化の早期把握や迅速な対応につながります。
また、蓄積したバイタルデータと位置情報を振り返ることで、体調変化が発生した場所や状況を分析し、安全対策や業務改善に活用できる点も特長です。
バイタルデータを活用して職場の安全管理を強化しよう

バイタルデータは、医療現場や介護現場における健康管理だけでなく、近年では建設現場や工場でも活用が広がっています。ウェアラブルデバイスの普及により、体温や心拍数、心拍変動などをリアルタイムで取得できるようになり、体調変化の早期発見や健康管理を支える技術として注目されています。
例えば、ミツフジ株式会社(弊社)が提供するスマートウォッチ「hamon bandシリーズ」もバイタルデータを継続的に取得・可視化できるウェアラブルデバイスの一つです。着用者の脈波から深部体温の変化を推定・可視化できる世界初の特許アルゴリズムを搭載しており、猛暑リスクをリアルタイムで把握し、熱中症の予防や早期対応に役立てられます。
従業員の安全管理を強化したい企業は、バイタルデータの取得に対応したウェアラブルデバイスの導入も検討してみてください。





